シリーズ累計1億部突破のモンスターコミック。現在はイブニングで連載中の金田一37歳の事件簿について、漫画と同時進行で推理・考察をしていきたいと思います。今回は、新たに始まったエピソード「殺人二十面相」のFile.06についてです。
漫画を読んでいる方も読んでいない方も一緒に推理・考察できればと思います。
ネタバレの内容を含みますのでご注意ください。
講談社 金田一37歳の事件簿 88話より引用しています。
YouTubeにも動画投稿していますので、チャンネル登録していただき、みなさんと一緒に考察できたら、とてもうれしいです。
Contents
船橋殺害
犯人に、鉄パイプで襲われかけていた船橋ですが、やはり、そのまま殺害されてしまいました。
そのあと、わざわざ別の場所に運ばれていましたが、これって、計画的な犯行なのでしょうか。おそらく、計画外の犯行だと思われます。その最大の理由は、メッセージカードが残されていない点です。
これまでの2人については、犯行を見せびらかすかのように、メッセージカードを使って、みんなを誘導していました。しかし、今回の犯行は、そういった要素が全くありません。準備していなかった感じがありありと見えます。
もう一つが、見立てです。これまでは、江戸川乱歩の事件に見立てる形で犯行を行ってきました。島咲の時などは、刺殺後に、わざわざ首にロープを巻き付けるという手の込みようでした。今回も、一応、緑衣の鬼の衣装をかぶせてはいますが、いかにも、慌てて取ってつけた感じがします。
おそらく、犯人は、事件の証拠となり得る何かを目撃されてしまったため、しかたなく殺害したのだと思います。
ただ、わざわざ、船橋の遺体を移動させたのは、何のためでしょう。
犯人は、この部屋には誰もこないという想定で、事件の証拠となるものを置いていたのだと思います。それなら、遺体もそのまま置いておけば、誰にも気づかれないと思う方も多いでしょう。しかし、犯人は、誰にも気づかれないのが、逆にまずいと思ったのでしょう。
閉館のアナウンスで、再び、みんなが集まりましたが、船橋がいないことから、当然、みんなで捜そうという話になりました。もし、あの部屋に、遺体を置きっぱなしにしておいたら、なかなか見つけることが出来ないため、みんながあの部屋にたどり着いてしまう可能性があります。そこで、見つけやすい場所に移動しておくことで、それを回避したということです。
ひとつ腑に落ちないのは、犯人は、なぜ、一旦、みんなをバラバラにしておいて、再度、集めるようなことをしたのでしょう。
それに関しては、おそらく、みんなを1人にしたかったのではなく、自分が1人になりたかったのだと思います。その理由は、証拠品等の後始末をするためです。犯人は、あの部屋に隠しておいたものを処理しようとしたのですが、船橋が居座ってしまったうえに、それが見られてしまったため、このような経緯になったのでしょう。再度、みんなを集めたのは、最後の計画である、赤峰殺害をみんなの前で実行するためだと思います。
実は、この、計画外の犯行ということが、ある人物の不思議な発言を誘発させていました。
魚森の不思議な発言
みんなが、船橋の遺体を発見したときに、魚森が、このような発言をしていました。「無差別殺人よ、このままじゃ、みんな殺される」。
犯人は、乱歩展の会場を封鎖し、メッセージカードを使い、乱歩の見立てまでして、巧妙かつ計画的に犯行を重ねてきました。その状況で、第3の被害者、船橋が発見されれば、当然、計画的 犯行の続きだと思うのが普通です。あの時、無差別という発言が出来るのは、船橋が、計画外の犯行だったということを知っている、犯人だけではないでしょうか。
つまり、魚森が犯人で、船橋だけは、想定外で無差別に殺害してしまったという意識から、つい、この発言が出てしまったということです。
金田一が発見したもの
船橋の遺体を見ていた金田一は、何かを発見した様子でしたが、鹿倉が割り込んできてしまったため、それが何かわかりませんでした。金田一が、指先でつまむような手つきをしていることから、考えられそうなのは2つです。
1つは、あの部屋の床の繊維です。犯行が行われた部屋の床が、芝生のような絨毯のような、何かしら繊維質のもののような感じでした。
それが、船橋の衣服に付着していたのかもしれません。それなら、犯行現場の特定につながる証拠になりそうです。
もう1つは、名刺です。名刺に何か細工がしてあるということでしょうか。これについては、次の、みんなの行動把握の考察で関わってくるので、そこで触れたいと思います。
みんなの行動が把握出来る方法
今回、金田一が、犯人は、殺害したい人物の行動だけは把握できるような仕掛けをしているという、発言をしていました。これが、事件を解くキーワードとなるように思います。
金田一は、殺害したい人物の行動だけと言っていますが、近くに他の人物がいるかどうかも把握する必要があるので、おそらく、全員にその仕掛けが施されていると思います。一体、どんな仕掛けが施されているのでしょう。それは、ずばり、ビーコンです。
ビーコンとは、簡単に言ってしまえば、無線技術を利用して情報の伝達を行う手段です。受信機と送信機を用意すれば、受信機をA地点に置き、送信機を持った人がA地点に近づけば、送信機が発する電波を受信器がキャッチし、近くにいるということを察知できます。プライベートの話ですが、仕事で、この機能を利用し、スーパーマーケットの作業員の人流調査をしたことがあります。つまり、各エリアに受信機を置いて、みんなに送信機を持たせることで、みんなの位置を把握することが出来るということです。電波は、ブルートゥースを使用しているので、ネットが繋がらなくても問題ありません。ただ、このシステムを活用するためには、3つの準備が必要になってきます。
1つ目は、受信機の設置です。これに関しては、各エリアに置かれている、展示物やオブジェの中に隠すだけで済むので、簡単にできます。大きさはいろいろありますが、大きいものでも、スマホぐらいのサイズなので、隠すのに苦労はしないでしょう。展示物がたくさんあるのも幸いしてます。
2つ目は、送信機の設置です。これに関しては、各自に持たせる必要があるので、細工が必要ですが、おそらく、名刺、あるいは、名札にビーコンが仕込まれているのだと思います。そんな薄いビーコンなんて、存在するのかとお思いかもしれませんが、発信型は、比較的単純なので、カード型やフィルム型のビーコンが存在します。
ここで注目したいのが、名刺を名札に入れて付けている人と、ストラップとして首からかけている人の、2種類 存在するという点です。
名札を付けているのは、当日の来賓で、ストラップを付けているのは、展示会のスタッフという切り分けです。
当日の来賓に関しては、事前に名刺を入手することが困難なので、名札のほうにビーコンを仕込んであるのでしょう。おそらく、安全ピンがついている金具でしょうか。
展示会のスタッフに関しては、展示準備段階から装着している物なので、名刺、あるいは、入館カード的なものに、事前に細工をし、ビーコンを仕込むことが可能です。
そして、この2つのケースが、殺害された3人の状況とマッチしてきます。
まず、ストラップを付けていた、葉狩と船橋は、ストラップが首にかけられたままで、残されていました。
これは、名刺、あるいは、入館カード的なものを差し替えるだけで、証拠を回収できるので、そのまま残されていたのだと思います。
名札を付けていた島咲は、名札ごと無くなっていました。
こちらは、名札を持ち去らないと、証拠回収にならないので、そういった行動にでたのだと思います。
名札を差し替えればいいという、ツッコミどころがありますが、あの時の状況を、金田一は、犯人として行動する時間が短かったと言っています。つまり、そこには、やりたくてもできなかったという状況が存在していたのではないでしょうか。そういった状況が、ちょっとした綻びとして、事件 解決の糸口になりそうです。
そして、3つ目の準備としては、位置情報を把握する手段です。
ビーコンを設置したところで、それを見る手段がなければ意味がありません。そこで注目すべきなのは、これです。
魚森が首からかけているもの、一見、スタッフが付けているストラップのように見えますが、違います。マイクからの線が接続されているので、おそらく、展示紹介用の情報や、説明用のカンペを表示するためのタブレット的なものだと思います。ここに、ビーコンの位置情報が表示される仕組みになっているということです。
そして、このことから、例の5人発言についても、説明がつきます。
魚森は、なぜ、乱歩の蔵に5人いることがわかったのか。
最初は、外でみんなが来るのを見張っていたからだと思いましたが、ビーコンの位置情報を見れば、一目瞭然です。ただ、なんで、あんな、わざわざ言う必要のないことを言ってしまったのでしょう。
おそらく、端末上の画面には、このような、簡易的な位置情報が表示されているのだと思います。
これを見続けていた犯人は、無意識のうちに、目から見た情報、つまり、5つ点灯しているアイコンの数を、直感的に言ってしまったのではないでしょうか。
魚森に関しては、もう一つ、この人だけ、ストラップも名札も付けていません。それは、自分自身の位置情報は知る必要がないからという意味なのでしょうか。
赤峰の行動
最上階に通じる梯子が、赤峰にしか届かない位置にあるため、赤峰が梯子を登ることになりましたが、これは何かの罠なのでしょうか。
おそらく、梯子が外れるか、毒が付着しているかで、転落するように思います。
江戸川乱歩の作品で、白い羽の謎という、岸壁から人が転落する事件がありますが、それの見立てかもしれません。
全く別の観点で、赤峰が犯人で、そのまま逃走するというパターンもあるかもしれません。屋上から、怪人二十面相が、ヘリや気球に乗って逃走するというのは、ありそうなパターンです。
あの高さに梯子を設置したのは、自分しか届かないようにするためという捉え方もできます。そして、エピソード後半は、犯人追跡編といった形で、ハロウィンや変装が絡んでくるのかもしれません。
まあ、この考えは、この場面に特化したものなので、全体的に見れば、魚森が犯人であることは、ほぼ間違いないでしょう。ちなみに、葉狩犯人説も、まだ捨てていません。
以上、「漫画【金田一37歳の事件簿】「殺人二十面相 File.06」みんなの行動が把握できる、それが事件を解くキーワード」について考察してみました。
そういえば、今回も、魚森のマイクが消えたり、現れたりしていました。
船橋のストラップも、スーツの上からかけていたり、中にかけていたりといった矛盾も生じていました。
ミステリーという性質上、こういった細かい点が重要になってくるので、ミスなのかトリックなのかわからないような、あいまいな作画はやめてほしいところです。ミスであれば、ツイッター上で告知してほしいです。まあ、されないでしょうけど。
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