金田一少年の事件簿の、全部で47存在する、長編エピソードを、独断と偏見によって、ランキング化し、上位10エピソードをベスト10、下位10エピソードをワースト10として紹介したいと思います。
今回は、ベスト・ワーストランキング、第10位の発表です。
ネタバレの内容を含みますのでご注意ください。
YouTubeにも動画投稿していますので、チャンネル登録していただき、みなさんと一緒に考察できたら、とてもうれしいです。
長編エピソード 全47ファイル
金田一少年の事件簿で、短編ものや、明智警視が主役の物を除いた、長編エピソードは、この47ファイルになります。
File.01 オペラ座館殺人事件
File.02 異人館村殺人事件
File.03 雪夜叉伝説殺人事件
File.04 学園七不思議殺人事件
File.05 秘宝島殺人事件
File.06 悲恋湖伝説殺人事件
File.07 異人館ホテル殺人事件
File.08 首吊り学園殺人事件
File.09 飛騨からくり屋敷殺人事件
File.10 金田一少年の殺人
File.11 タロット山荘殺人事件
File.12 蝋人形城殺人事件
File.13 怪盗紳士の殺人
File.14 墓場島殺人事件
File.15 魔術列車殺人事件
File.16 黒死蝶殺人事件
File.17 仏蘭西銀貨殺人事件
File.18 魔神遺跡殺人事件
File.19 速水玲香誘拐殺人事件
File.20 魔犬の森の殺人
File.21 銀幕の殺人鬼
File.22 天草財宝伝説殺人事件
File.23 雪影村殺人事件
File.24 露西亜人形殺人事件
File.25 怪奇サーカスの殺人
File.26 金田一少年の決死行
File.27 吸血鬼伝説殺人事件
File.28 オペラ座館・第三の殺人
File.29 獄門塾殺人事件
File.30 雪霊伝説殺人事件
File.31 黒魔術殺人事件
File.32 剣持警部の殺人
File.33 錬金術殺人事件
File.34 ゲームの館殺人事件
File.35 人喰い研究所殺人事件
File.36 香港九龍財宝殺人事件
File.37 薔薇十字館殺人事件
File.38 雪鬼伝説殺人事件
File.39 亡霊校舎の殺人
File.40 狐火流し殺人事件
File.41 蟻地獄壕殺人事件
File.42 吸血桜殺人事件
File.43 人形島殺人事件
File.44 黒霊ホテル殺人事件
File.45 白蛇蔵殺人事件
File.46 聖恋島殺人事件
File.47 金田一二三誘拐殺人事件
こうして並べてみると、圧巻といった感じです。金田一ファンの方なら、全てご存じかと思いますが、これを、1位から47位までランキング化するには、かなり迷いました。便宜上、下位10エピソードをワースト10と言っていますが、決して、駄作という意味ではないので、その辺は、ご了承ください。考察をおこなっている、金田一37歳の事件簿については、金田一の立ち位置の違いや、主要キャラが違うという点で、今回は、対象外とさせてもらいました。
それでは、今回は、ベスト10位と、ワースト10位を発表したいと思います。
ベストエピソード 第10位
ベストエピソード 第10位は、File.16「黒死蝶殺人事件」です。
比較的初期の作品で、金沢にある、通称、蝶屋敷と呼ばれる、蝶を大量に放し飼いにしている邸宅で起こる連続殺人事件です。
このエピソードの良かった点は、トリックの斬新さにあります。
蝶の擬態性を利用し、大量の枯葉に見せて、遺体を隠すといったトリックです。
トリックという点では、この一点に集約されてしまうのですが、カラー写真のページをいれて説明をするなど、かなり斬新で、面白いトリックだったと思います。
そして、このトリックにも代表されるように、大量の蝶の描写や、蝶の見立てが登場し、ビジュアル的にも、インパクトのあるエピソードでした。
ファイル6「悲恋湖伝説殺人事件」で登場した、東野英治と思われる人物が、別の人物として登場したのも、目新しい点です。
この、深山日影と名乗る人物が、東野英治なのかという点も、このエピソードを盛り上げた要素の一つでした。
ただ、犯人 当てという観点では、ヒントが直接的すぎたのが残念な点でした。小野寺が、深山に殴られた時に、所持品が落ちますが、コンタクトレンズのケースの絵があからさますぎたように感じました。
班目緑の目の色と、すぐに直結してしまい、この時点で犯人がわかってしまいました。ストーリー的には、深山があやしいという可能性を含んだ流れできていたので、もう少し、さりげない見せ方をしてほしかったところです。
あとは、犯人の小野寺が殺害した、班目るりと舘羽は、実は、紫紋の子供ではなく、自分の兄妹だったという結末は、とても悲劇的でした。
母、緑とのすれ違いにより、小野寺のおこなった犯行が、ほぼ無意味だったという点でも、エピソード屈指の、悲しい結末と言えるかもしれません。
ワーストエピソード 第10位
ワーストエピソード 第10位は、File.20「魔犬の森の殺人」です。
野犬に囲まれ、逃げ場をなくした廃屋の研究所で、遺伝子操作の怪物犬、ケルベロスの仕業のように見立てた連続殺人事件です。
このエピソードの気になった点は、いろいろな部分で、表現があからさますぎるという点です。具体的には、まず、登場人物の名前です。
一人を除いて、全員の名前に、数字が入っているというのが、最初からわかってしまい、これが犯人を特定するための要因になるというのが見え見え過ぎました。
小道具についても同様で、笛そのものを出してしまったことで、これは犬笛で、犬を操っているというのがわかってしまいました。
他にも、釘の束が描かれたことで、ケルベロスの爪痕に使っているのが見え見えでしたし、遠目に置かれているライトも、巨大な犬の影を見せるために使ったというのが見え見えでした。
手がかりがあまりにも直接的で、あからさまだったため、推理、考察するおもしろさが、かなりそがれた感じがしました。
そして、もう一つ気になった点は、フルーツ・ダイイング メッセージです。
渡辺が殺害された時に、ダイイングメッセージとして、メロンでトマトをつぶした、あれです。
金田一の言い分としては、犯人に関することを書いたら、犯人に揉み消されてしまうため、わからないようにダイイングメッセージを残したと言っていますが、この体勢、どう見ても違和感があります。犯人が見たら、普通、何かあると思います。この部分だけを、推理クイズとして出題するのなら、問題ないのですが、これはクイズではなく、ミステリーなので、長編ストーリーの中のワンシーンとして扱うのはちょっと違う気がしました。
逆に、このエピソードのよかった点は、犯人の意外性です。
金田一の友人で、以前、ファイル8「首吊り学園殺人事件」で登場し、それ以降、短編でも登場していた千家貴司。
そういった立ち位置の人物が、実際に犯人だというのは、なかなか考えずらいです。そこが、このエピソードのおもしろさの要因のひとつだっただけに、本当に千家が犯人なのかと考えさせられるような、手がかりの表現をしてほしかったところです。
犯行の動機は、恋人の復讐という、金田一シリーズではありがちな動機でした。
ただ、以前、千家が登場した、ファイル8「首吊り学園殺人事件」で、友人のいじめを見て見ぬふりをしたことから自殺を招いたという思いが、ちょっとした伏線になっていたようにも感じられた点は、うまく見せていたように思います。
ちなみに、このエピソードでも、コンタクトレンズが犯人の決め手となる証拠として登場していました。
以上、「全47エピソードから選ぶ 【金田一少年の事件簿】ベスト・ワーストランキング 第10位」について考察してみました。
ご覧いただいたみなさんの、ベスト3、ワースト3のエピソードがありましたら、TwitterやYoutubenのほうでコメントいただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
次回は第9位について紹介したいと思います。
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【黒死蝶殺人事件】は私も好きな回なので、取り上げて頂き、ありがとうございます。
1点、誤りがあります。
小野寺が絞殺した人物は、『舘羽(たては)』が正解です。
表記は『揚羽(あげは)』になっていましたが、揚羽は生存した人物なので、また別人です。
ご覧いただきありがとうございます。
また、間違いのご指摘ありがとうございます。
早速、修正いたしました。
これからもよろしくお願いします。