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忘れないことが一生の贖罪
鵜久森の事件の犯人は、これまで考察してきた通り、西野でした。
ただ、少し意外だったのが、金澤と野辺が、西野と一緒に、自ら命を絶とうとするほど、強固な繋がりがあったとは思いませんでした。
人が来ないように見張っていたとはいえ、ある意味、傍観者的な立場だった2人が、そこまで思いつめる必要はなかったように感じました。
最後、警察に向かう3人に、江波が駆け寄り、何があっても、ずっと友達だよねと言ったのは、そういった絆を描きたかったのでしょうか。
前回の考察で、自分の愚かさに気づいてくれて、向き合ってくれる、そんな友人や恩師の存在が、重要だと言いました。相楽に対しての、迫田や里奈の存在のことです。
江波の言葉が、それと同様の意味合いだとしたら、事の重大さがわかっていないように思います。
3人のせいで、人が1人死んでいるのです。そういった状況の中で、友情を確かめ合うというのは、かなり場違いな感じがしました。
そんな3人に、鵜久森の母親、美雪が言った、「忘れないでほしい」という言葉。
これは、鵜久森が生きていた証しを忘れないことで、心の中に生き続けるという意味と同時に、3人にとって、一生の贖罪になるという意味が込められていたのではないでしょうか。
今回、もう1つ、意外だったのが、3人を発見したのが、月野たち4人だったという点です。
金澤と野辺が、そういう役回りを担うのかと思っていましたが、かなり想定外でした。ただ、特に友達でもなく、むしろ、西野たちを嫌っていたで あろう月野たちが、3人を救うという展開は、ある意味、リアリティーがあり、奥の深さを感じました。
里奈を突き落とした人物
相楽が改心し、鵜久森の事件が、西野たちの仕業だとわかった今、残る問題は、里奈を突き落とした人物ということになります。これまでの考察では、左利きの可能性などを含め、東風谷の仕業ではないかと、言い続けてきました。
東風谷に関しては、1周目の段階では、鵜久森の件で闇を抱えていた可能性もありますし、通院の件も、結局はっきりしませんでした。2周目では、鵜久森を救うために、再び、里奈を突き落とすという展開に期待しましたが、いくつか、新たな事実が判明しました。
1つは、犯人が、浜岡に対して、西野が困っている状況にあると伝えていた点です。
このことは、浜岡を煽ることで、西野に危険な行動を起こさせようとする、誘導のように取れます。鵜久森が亡くなっているこの状況で、東風谷がそんなことをする理由がありません。
もう1つは、里奈が、犯人に目星をつけた点です。
これまでの、東風谷の挙動からは、そういった点は皆無なので、おそらく、東風谷が犯人という線は、消えたように思います。
そうなると、残されたのは、星崎ということになってきます。
おそらく、星崎で間違い ないでしょうが、問題なのは、里奈を突き落とした動機と、里奈が、なぜ、星崎に目星をつけたのかという点です。
里奈が星崎に目星をつけた理由
里奈が、星崎に目をつけた理由として、一番考えられそうなのは、星崎の挙動だと思います。あらゆる状況で、目が泳ぎ、不審な挙動を見せている点は、視聴者的にも、気づく要素ではありました。
逆にそれが、ミスリードと取れる要素でもありましたが、終盤のこの状況から、真の伏線要素という可能性が高そうです。おそらく、教室に仕掛けた、監視カメラの映像を見返すことで、そういった挙動が、浮き彫りになったのだと思います。
ただ、そういった挙動だけでは、犯人と決めつける要素にはならないようにも思います。確証づける何かが欲しいところです。そういった意味で、気になったのが、監視カメラの映像です。
里奈は、24万円掛けて、監視カメラを8台購入し、教室の天井裏に設置しています。
第1話で、その説明がされた時のカメラの映像が、こちらです。
画角の違いから、4台分 のカメラの映像ということがわかります。
他の映像を探してみると、まず、第3話の冒頭で、この映像が登場します。
前の4台とは違うアングルなので、5台目ということになります。
続いて、第5話の最後で登場した、文化祭前に、浜岡が侵入した時の映像です。
これも、違うアングルなので、6台目ということになります。
さらに、第7話の、里奈が鵜久森の死について語る様子を、教師たちが職員室で見ていた時の映像です。
初めての、教室後部からの映像で、7台目です。
そして、第9話で、鵜久森の母親が、教頭と一緒に見ていた映像です。
ちょっと、第3話で登場した映像に似ていますが、8台目です。
この時点で、ある矛盾点に気づいた方もいるのではないでしょうか。第9話の最後で、里奈が見ていた映像と、同じ画角のものが存在しません。
つまり、9台目の監視カメラが存在しているということです。
さらに言えば、1台目から8台目までのカメラは、天井裏に仕掛けたこともあって、上部からのアングルになっています。
しかし、9台目とされる映像は、サイドからのアングルになっています。
一体これは、何を意味するのでしょう。
9台目の監視カメラは、星崎が仕掛けたものだとしたらどうでしょう。
映画を撮ろうと言い出した、星崎の挙動からも、可能性はありますね。しかも、この映像は、鵜久森が涙の告白をした時のもので、新学期の最初から仕掛けられていたことになります。つまり、星崎は、映画を撮ろうと言い出す前から、そういった行動に出ていたことになります。
仮にそうだとして、里奈は、どうやって、この映像を入手したのでしょうか。たまたま、カメラの存在に気づいたか、あるいは、夫の蓮に協力してもらい、ハッキングをしたのかもしれません。
蓮はシステムエンジニアなので、そういったこともできそうです。
もちろん、撮影上の都合で、カメラの整合性まで考えていないと言われればそれまでですが、明らかな矛盾を深堀りするのが、考察の醍醐味とも言えます。
星崎の動機
里奈を突き落とした人物が、星崎だとしたら、その動機は、一体、何なのでしょう。
表面的に見えている部分からすると、変化のない日常に、刺激を求めるための、愉快犯的な動機でしょうか。前回の考察でも言ったように、星崎は、自分自身が主導で動くのではなく、周りに知らせることで、波及効果を期待するタイプの人間です。
そういう意味では、周りがバタバタする様子を、客観的に見て楽しんでいるということも考えられます。ただ、鵜久森の死、東風谷の告白、相楽の改心、西野の贖罪、こうしたテーマに対して、あまりにも、薄っぺらい動機のように感じます。最終回に持ってくるテーマとしては、明らかに弱いです。
鵜久森の復活ありきで、最後に星崎を持ってこざる負えないということであれば、何となくわかりますが、おそらく、里奈が、再び落ちることはないように思います。
もし、里奈が再び落ちて、鵜久森が復活してしまうと、第8話から9話にかけての話が、まったく無意味になってしまうからです。説得力がなくなってしまいます。
そういう意味では、星崎の動機が、このドラマ最大の見せ場とならなければいけません。そう考えたとき、1つ、謎のままの要素が存在することに気づきます。それは、公式がSNSで発信した、閉じ込めてゴメンという投稿です。
この投稿は、ドラマが放送開始される前の、7月4日に投稿されましたが、それ以降、ドラマ内では、まったく触れられてきませんでした。もしこれが、星崎の動機に関係しているとしたら、考えられるのが、虐待です。
ここに閉じ込められていたのは、星崎ということです。
1周目では、無自覚な里奈に、そのことを気づいてもらえず、里奈を突き落とします。
そして、2周目では、変えようと決意した里奈にも、そのことを気づいてもらえず、再び、里奈を突き落そうとするのではないでしょうか。
こうした、星崎の思考は、先ほど言った、自分から動くのではなく、周りによる波及効果を期待するという部分にも繋がってきます。自分では変わらないと思っていても、人が変えてくれる、そういう思いに気づいてくれない里奈への、ある意味、逆恨みみたいなものです。
そこに、虐待の要素が加われば、最終回のテーマとしては、成立するような感じがします。
まあ、あの投稿が、撮影の都合上、カットされてしまっただけという可能性もありますが、そこに根拠づけを求め、深掘りしてみました。
以上、「ドラマ【最高の教師】第9話考察 里奈が突き落とし犯に気づいた理由､そして､閉じ込めてゴメンの意味」について、考察してみました。
考察内では、星崎が、3人目のタイムリーパーかどうかについては触れませんでしたが、おそらく、違うと思います。というか、話がややこしくなるので、違ってほしいです。このドラマは、第9話までで、高い完成度を誇っているので、不要な要素をいれることで、かえってマイナスになるような気がします。そういう意味でも、星崎が、どういう動機で、里奈を突き落としたのか、とても注目です。
最終回後に、総括動画をあげるかどうかは未定のため、ここでお礼を申し上げます。これまで、最高の教師の、考察をご覧いただき、ありがとうございました。10月期も、新たなドラマの考察を行っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い致します。
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